It's an Inclusive World

作詞・作曲・編曲・伴奏:安倍 良恵。メインボーカル:伊藤 マミ、コーラス:西 愛里・小柳 玲子・筧 那智

1.
広い海に漂う 小舟のように
ただ一人ぼっちで 心細くなってた
昏い闇に囲まれ 何も見えずに
声をあげることさえ できそうにもなかった

でも 溺れそうな 私を見つけ
手を差し伸べてくれた誰かにもほら
涙の跡が見える
そう 人は誰も 完璧じゃない
弱さがある
だから人とつながることができるんだね

It’s an inclusive world 独りじゃない
悲しい時はいつも 寄り添う誰かがいる
It’s an inclusive world 手をつなごう
私の小さな手にも ぬくもりがあるから

2.
自分が好きになれず つらい時には
他人(ひと)がやけに眩しく 見えることもあるけど
誰もがオリジナルの 色を持ってる
世界に一つしかない 命を生きてるんだ

でこぼこだらけの 私でもいい
好きになれたら
自分の居場所がほら ここにあると気づくよ
パズルのピースが ぴたりとはまる
そんなふうに  みんな輝く未来 一緒に創りたい

It’s an inclusive world 独りじゃない
寂しい時はすぐに 私もそばにいくよ
It’s an inclusive world 手をつなごう
あなたの小さな手にも ぬくもりがあるから
It’s an inclusive world 忘れないで
苦しい時はそばに 支えるひとがいるよ
It’s an inclusive world 手を取り合おう
私たちのこの手には ぬくもりがあるから

It’s an inclusive world…(リフレイン)
ぬくもりがあるから

音源の制作に関わった音楽療法士サークル「こむすび」のメンバーと仲間たちをご紹介します♪

安倍 良恵(あべよしえ)

【作詞・作曲・編曲・伴奏】 日本音楽療法学会認定音楽療法士。 今まで精神科病院や高齢者施設、成人知的障がい者施設などで実践に携わる。 出産後なかなか仕事に復帰できず、資格の更新にも苦労した経験から、同じような悩みを持つ音楽療法士達と共に、音楽療法士のためのピアサポートグループ「こむすび」を立ち上げ、現在その代表を務める。

伊藤 マミ(いとうまみ)

【メインボーカル】 聖路加国際病院の音楽療法士。赤ちゃんからご高齢の方まで、幅広い年代の方へ音楽療法を行っている。ドイツ認定音楽療法士で、声を療法的に使うことを大切にしている。音楽療法士サークル「こむすび」メンバー。

西 愛里(にしあいり)

【コーラス】 日本音楽療法学会認定音楽療法士。 日本色彩環境福祉協会認定色彩福祉アドバイザー。 高齢者施設、地域コミュニティ施設を中心に音楽と色彩を用いて介護予防講座を行う。音楽療法士サークル「こむすび」メンバー。

小柳 玲子(こやなぎれいこ)


【ゲストコーラス】〜Special Thanks!〜 日本音楽療法学会認定音楽療法士。 児童発達支援センター、放課後等デイサービス、精神科病院等で音楽療法を行う。昭和音楽大学非常勤講師。 音楽スペースおとむすび主宰。 音楽療法士サークル「こむすび」の応援団であり、アドバイザー的存在。

筧 那智(かけいなち)

【ゲストコーラス】〜Special Thanks!〜 日本音楽療法学会認定音楽療法士。 訓練会や自社グループ、生活介護事業所などで障害児者を対象とした音楽療法セッションを行っている。 ぴっこらかぷりちおのメンバーとして演奏活動も実施中。

この曲に込めた想い

ReMind五周年記念テーマソング「It’s an Inclusive World」について
 ReMind代表の河合先生から、テーマソング制作のご依頼を受けたのは、今年の四月頃のことでした。
 今回のインクルーシブフェスタのテーマであり、ReMindの理念でもある「インクルーシブワールド(包含社会)」をテーマに、皆で肩を組んで歌えるような歌を、というご希望でした。まさにその理念に共感してReMindに入会した私でしたので、ご依頼頂いたことをとても嬉しく光栄に感じた一方で、「インクルーシブワールド」という言葉を初めて聞く人達に、どのように伝えたらまっすぐ心に届くだろうか、と考えました。伝え方によっては抽象的に聞こえるかもしれないその言葉を、実感をもって伝えるには、私自身の個人的な体験を自分の言葉で伝えるしかない、と思い至ったのです。


私は30代の初め頃、妊娠出産と母の介護がほぼ同時に始まるというダブルケアラー生活を経験しました。 周囲のママ友や同年代の友人達には、同じような悩みを抱えた人はおらず、誰にも相談することができなくて孤独でした。支援職ならではの「私が頑張って母を支えなくては」という気負いもあったように思います。
でもやがて、一人で抱えきれなくなって介護保険制度を頼らざるを得なくなりました。ケアマネジャーさんという相談相手ができた時は、心からほっとして心強く感じたことを覚えています。症状が進行して母が施設に入所することになった時も葛藤がありましたが、そこで出会ったスタッフさん達や音楽療法士さん達の温かい支えにより、母は笑顔で穏やかな晩年を過ごすことができ、家族も安心して母との時間を大切に過ごすことができました。またコロナ禍で母と面会ができなくなった時には、そのつらさを乗り越えるために歌を作ってインターネット上で発信したところ、思いがけず介護経験者の方々から温かい励ましやいたわりの言葉を頂き、私と同じように大切な人に会えずにいる方々からは多くの共感が寄せられました。その方々との繋がりは、母が亡くなった時にも大きな支えとなりました。 「相談できない、頼ってはいけない、自分が頑張らなくては」というのは、私自身の中にある心の壁だったのだと、今は思います。
音楽療法士して対人援助の仕事をしてきた私ですが、プライベートでは患者の家族として多くの方々に助けて頂きました。そして、病気になった母からは大切なことを学び、沢山の幸せと温かい気持ちをもらいました。 今は、こんな自分の経験がいつか誰かの役に立つといいなという気持ちでいます。そんな心境の変化を一番の歌詞に込めました。 二番の歌詞で書いたのは、自分自身のことです。 小さい頃の私はとても内気で引っ込み思案で、自信のない子供でした。そんな私に母は、何か一つでも自信が持てるようにとピアノを習わせてくれ、それが今につながる道となりました。ピアノが大好きになった私は音楽の道に進み、音楽療法士として人と関わる仕事をするようになりました。
音楽以外は苦手なことばかりで、失敗して落ち込んだり、人と比べて悩むことが多かった私でしたが、それでも私の得意なことを見出してくれた母と、その素質を伸ばしてくださった恩師の先生方、そして未熟な私を温かく見守り育ててくださった音楽療法の先輩方や患者さん達の存在があったからこそ、今の自分があるのだと感謝しています。  

音楽療法士サークル「こむすび」の代表として、勉強会を運営する立場となった今でも、仲間達の存在には助けられています。得意も不得意もひっくるめて個性として受け入れてもらえる環境があるからこそ、自分の力を発揮して貢献することができるのだと有り難く感じていますし、他のメンバー達にとっても同様に居心地の良い場所でありたいと常々思っています。そんな「こむすび」の大切な仲間達と一緒に、この歌の収録をすることができたのは、私にとってとても嬉しいことでした。
奇しくもReMindと同じく今年で五周年を迎える「こむすび」に、このような貴重な機会を与えてくださった河合先生、音源制作に快く協力してくださったこむすびメンバー有志と関係者の皆様に、心から感謝申し上げます。
支援する側とされる側に、本当は垣根などないのだと思います。誰でもケアされることもあれば、他の人に力を与えることもできます。 誰もが困った時には助けてほしいと言えて、手を差し伸べてもらえる社会。ありのままの自分でいられて、個性を強みに活躍できる社会。未来を担う子供達にそんな世界を残すことができたら…そう願って作ったのがこの歌です。
この歌が皆さんの心に届き、inclusiveな世界が実現するためのささやかな一助となることを祈っています。 


音楽療法士サークル「こむすび」代表 安倍 良恵

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